好奇心がある子の日常は何が違う? 料理・旅行・ゲームを「学びの機会」にする習慣

須合啓

子どもにとって、学びは勉強だけではありません。日常生活での様々な体験は、すべて学びの機会であると、学習塾STUDY HOUSE代表、須合啓先生は解説しています。

著書『自分から進んで学ぶ賢い子の育て方』より、その一篇を抜粋してご紹介します。

※本稿は須合啓著『自分から進んで学ぶ賢い子の育て方』(明日香出版社)より一部抜粋・編集したものです

日常生活の中に学びの種をまく

学びは教室や机の上だけで行われるものではありません。日常生活には、学びの機会が無数に存在しています。日常生活の中にたくさんある「学びの種」を見いだし、育てることで好奇心は育っていきます。

料理や買い物、旅行

たとえば、料理は学びの宝庫です。買い物は仮説する力を育て、分量を測ることは数学の実践であり、手順を追うことは論理的思考の訓練になります。調理過程で起こる変化は小さな科学実験です。たとえば、ホットケーキを作る際に生地が熱で固まる様子を観察し、「どうしてこうなるの?」と問いかけることで、化学反応への興味を引き出します。

また、買い物も絶好の学びの機会です。価格の計算や比較は実践的な算数のいい訓練になります。計算力を養ったり、情報の比較や意思決定の練習になります。栄養成分表を見比べたり、原産地を確認したりすることで、原産地になる地理的環境はその土地の気候や地形など食育だけではなく、深く社会科の学習にもつながります。

旅行も総合的な学習の場です。地理、歴史、文化など多岐にわたる学びの機会を提供します。旅行先の地図を見ながら行程を計画することは地理の学習になります。訪れた場所の歴史や文化について調べることは社会科の生きた学習となり、地域ごとの方言や食文化の違いを体験することで、言語や文化の多様性への理解も深まります。

日常の散歩や外遊びなども、予定調和が崩されることで、臨機応変に対応する力が育まれます。たとえば支払いを子どもに任せることだけでも、制限のある環境下で修正力を育てるいい機会となります。

また、生き物や植物を育てることも予定調和を崩すきっかけになります。ペットの世話や植物の世話を通じて、子どもは責任感を持ち、生命の大切さを学びます。これらの活動は、観察力や問題解決能力を養う助けとなります。

学びを生きたものにするために

これらの日常生活における学びの機会を積極的に活用するためには、どうしたらいいでしょうか。

まず、「なぜ?」を大切にすることです。日常の中で起こる現象に対して、「なぜそうなるの?」と問いかける習慣をつけましょう。料理中に「なぜ水は沸騰すると泡立つの?」といった疑問を投げかけ、一緒に考えたり調べたりすることで、科学的思考を育みます。

次に、五感を使った観察を促すことも大切です。買い物の際には、商品の色、形、におい、触感などを意識的に観察するよう促します。これは自然科学の基礎となる観察力を養います。

また、体験を言語化することも重要です。旅行後には、体験したことを絵日記や作文にまとめる機会を設けます。これにより、体験を整理し、言語能力を向上させることができます。

家族での対話を大切にすることもポイントです。日常生活での発見や疑問を家族で共有し話し合う時間を持ちましょう。これにより、コミュニケーション能力や思考力が育まれます。

さらに、遊びの中に学びを見いだすことも効果的です。たとえば、積み木遊びを通じて空間認識や物理の基礎を学んだり、カードゲームを通じて戦略的思考を育んだりします。

学びの姿勢を育む

日常生活の中に学びの種をまくことで、子どもたちは「学ぶこと」と「生きること」が密接につながっていることを自然に理解していきます。これは生涯学習の姿勢を育むうえで非常に重要です。また、学校での学習がより意味のあるものとしても認識できるようになります。

私たちは、子どもたちが日々の生活の中で「あっ、面白い!」「なぜだろう?」と感じる瞬間を大切にし、それを学びにつなげていく支援をしていきたいと考えています。学ぶことが特別なことではなく、日常の中に自然にとけ込んだ楽しい活動になることを目指しています。

ここが大事:日常生活のあらゆる場面を学びの機会ととらえよう

自分から進んで学ぶ賢い子の育て方

自分から進んで学ぶ賢い子の育て方』(須合啓著/明日香出版社)

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